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動画DRM/暗号化ストリーミング基礎

有料/限定配信では暗号化が必須です。HLS/DASH の CENCSAMPLE-AESWidevine/FairPlay の最小構成を押さえれば多くの要件は満たせます。本稿は「何から始め、どこで落ちるか」を実務視点で体系化します。

注意
DRMは端末依存・実装依存が大きい領域です。まずは ABRラダー低遅延 の土台を固め、最後にDRMを重ねると検証が安定します。

要点(TL;DR)

1. 脅威モデルと要件定義

2. 鍵とライセンスの流れ

  1. Key/IV発行: KMS/DRMベンダーでKID/Keyを生成・保管(監査ログ必須)。
  2. パッケージ: HLSはSAMPLE-AES/またはFairPlay仕様、DASHはCENC(fMP4, pssh)で暗号化。
  3. 再生: プレイヤーがEMEでCDMにinitDataを渡し、ライセンスサーバから鍵素材を安全に取得。

補足: 署名URLでセグメントとライセンスAPI両方を保護し、ID連携/セッション検証でアクセス制御を徹底します。

実装例(EME: Widevine/FairPlay)

EMEの初期化 → encrypted イベント → ライセンス取得 → session.update の順。Safariは FairPlay、Chrome/Android は Widevine を使用します。

HLS(FairPlay) の #EXT-X-KEY

SAMPLE-AES と skd:// のキー配布を組み合わせ、証明書/cert と ASK の整合性を確認します。

3. HLS/DASH 実装の勘所

4. 互換性と制限(L1/L3, CBCS/CENC)

5. テスト戦略とSLO

まずは非DRMのクリア配信で ABR/低遅延/初期体験を固め、次にDRMつきを同条件で比較します。差分は「ライセンス遅延」「復号失敗」「切替破綻」に分類。

6. 運用: 鍵ローテーション/可観測性/障害対応

公開前チェック

まとめ

DRMは“最後に重ねる層”。エンコードABR低遅延を先に最適化し、ポスター/LQIPで初期体験を守った上で暗号化を導入しましょう。

FAQ

FAQ(よくある質問)

1DRM設計の最小構成は?

共通KMSでKID/Key生成 → パッケージャでHLS(SAMPLE-AES)/DASH(CENC)作成 → 端末ごとにFairPlay/Widevineのライセンスエンドポイントを案内、が最小構成です。

ABRラダーやキー間隔、セグメント境界は先に最適化し、最後にDRMを重ねると切替破綻が減ります。

2KID/Keyのローテーション頻度

イベント/番組単位、または一定期間(日/週)など。ローテーション毎にメタデータの同期とキャッシュ無効化が発生するため、キャッシュ戦略と合わせて設計します。

3Safariで再生できない(FairPlay)

skd://のライセンスURL組成、cert/askの不一致、MIME、CORS、HTTPS、Service Workerスコープ、HLSタグ(#EXT-X-KEY)の位置などを確認します。iOSのバージョン差分検証も必須です。

4セキュリティとログのバランス

可観測性のための一意トークン/セッションIDはPIIを含めず、署名URL/クッキーで保護します。エラー種別(初期化/ライセンス/復号/ネットワーク)を分離してSLOを立てます。

gazou-compressor.jp 編集部

画像圧縮・変換・背景除去などの実践テクニックと、Webで“速く・軽く・崩さない”ためのノウハウを発信しています。

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