用紙×スクリーン線数×シャープネス:プリント鮮鋭度の基礎設計
印刷の解像感は、紙質・スクリーン線数・シャープネスの整合で決まります。 線数の1.5〜2倍のdpiを起点に、USM×ハイパスを役割分担させつつモアレを避けるのが近道です。
先に結論(最短ルール)
- 175lpiなら300–350dpiを基準。
- USMは輪郭、ハイパスは微細。かけ過ぎは粒状感とモアレの原因。
- パターン画像は僅かな拡大/縮小でモアレを回避。
要点(TL;DR)
- 線数×1.5〜2倍dpiを基準に、紙質で微調整。
理由: 網点再現の限界を超えるdpiは視覚差が薄く、RIP負荷だけ増やす。 - USM×ハイパスの役割分担で過剰強調を防止。
失敗時: ざらつき・リンギングが増え、紙の粒状性と干渉して劣化。 - モアレはスケール変更や周波数成分の調整で抑制。
根拠: 線数と画像周波数の整列を少し外すと干渉が弱まる。
1. 背景:紙質と線数が決める上限
上質紙はインキのにじみが大きく、微細な網点が潰れやすい一方、コート紙は高い線数が使えます。 画像側のdpiを闇雲に上げるより、線数×1.5〜2倍に揃えてRIP負荷と画質の最適点を狙います。
2. 線数と出力解像度
# 線数→推奨dpiの目安
133 lpi → 240–300 dpi
150 lpi → 260–320 dpi
175 lpi → 300–350 dpi
175lpiの雑誌系なら 300–350dpi、150lpiなら 260–320dpi が目安です。上限を超えるdpiは ファイル肥大と処理時間だけが増えがちです。
2.3 用紙×線数×dpi 早見表
| 用紙 | 代表線数(lpi) | 推奨dpi | 備考 |
|------|----------------|---------|------|
| コート | 175 | 300–350 | 写真多め、微細はハイパス寄り |
| 上質 | 133–150 | 260–320 | 点が潰れやすい→過剰USM注意 |
| マット | 133–150 | 260–320 | 粒状が乗る→半径は小さめ |
実際の線数は印刷所/機械で変動。最終は校正で擦り合わせます。
3. シャープネスの実務
# シャープネスの役割分担
USM: エッジ強調(半径1–2px・量適量)
ハイパス: 微細ディテール(周波数を絞り過ぎない)
USMはエッジ、ハイパスは微細。紙の粒状性に合わせて量/半径を調整します。
# モアレ回避のヒント
・パターン画像は 2–3% の拡大/縮小で干渉ピークを外す
・線数と画像の高周波が一致すると発生しやすい
・必要に応じて軽いガウシアン/ノイズで干渉の強度を緩和
3.2 アプリ別 推奨初期値(目安)
| アプリ | 処理 | 初期値 | 備考 |
|------|------|-------|------|
| Photoshop | USM | 量 80–120 / 半径 0.7–1.5 / しきい 0–2 | 上質は量抑えめ |
| Photoshop | ハイパス | 0.5–1.2px / ソフトライト | 微細テクスチャ向け |
| Lightroom | 出力シャープ | 標準 / 媒体: 光沢 or つや消し | 媒体プロファイル重要 |
| InDesign | 透明効果 | 高解像度 / 300ppi | PDF/X 書き出しに影響 |
数字は「入口の目安」。用紙と線数で微調整し、過剰強調は避けます。
3.8 網点プレビューの活用
RIP/アミ点プレビューで階調断絶やハイライト飛びを事前に検出します。
- 肌・空・グラデ: ハイライト側の段差/荒れを確認
- 細線/斜線: 階段化や消失の有無
- 網目/織り: モアレの出方を想定して対処
4. 入稿前チェック
- 線数と出力dpiの整合が取れている。
- シャープネス過多で粒状性が目立っていない。
- パターン画像のモアレが許容内。
- 線数が変わる面付けや別紙面でも基準が崩れていない。
4.5 校正プロトコル(15分)
- 代表ページ3種(写真/細線/パターン)を出力
- 標準光で距離50cm/30cm の2条件で観察
- 粒状・モアレ・シャドー潰れ・ハイライト飛びをチェック
- USM量/半径 or ハイパス強度を±10–20%で再出力
5. まとめ
紙×線数×シャープネスの整合は、解像度設計 と 併せてテンプレ化すると安定します。迷ったら校正で量感を突き合わせましょう。
5.2 よくある誤解
- dpi は高いほど良い → 網点再現の限界を超えると効果薄
- USM だけで十分 → 粒状が強い紙はハイパス併用が安全
- モアレは避けられない → スケール/角度調整で軽減可能
FAQ
FAQ(よくある質問)
1画像形式の基本方針は?(写真/スクショ/透過)
写真は AVIF / WebP(画質80–85%目安)、UIやスクショはPNG / WebP Lossless、単色ロゴはSVGが基本です。 実装の詳細は srcset/sizes設計ガイド と スクショ最適化 を参照してください。
2圧縮しても画質を落とさないコツは?
実表示幅に合わせたリサイズ → 過大ダウンロードを防ぎ、
srcset/sizes
を 実描画幅に一致させます。画質は写真で 80–85% を起点に、ノイズやエッジを目視確認。 仕上げは /compare で Before/After を見比べるのがおすすめです。3CLSを悪化させない画像の置き方は?
公開日: 2025-09-08編集: gazou-compressor.jp